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海上幕僚監部人事教育部長から各部隊の長・各機関の長あて
海上自衛隊教範類について(通知)
標記について、海上自衛隊教範に関する達(昭和41年海上自衛隊達第23号。以下「達」という。)が改正され、訓練資料が新たに制定されたこと等に伴い、達の運用に必要な細部事項等について、別紙のとおり通知する。
なお、海上自衛隊教範について(通知)(海幕教1第2714号。41.6.6)は廃止する。
添付書類:別紙
写送付先:部内全般
別 紙
海上自衛隊教範類に関する細部事項等
1 達改正の経緯
(1) 教範に関する訓令(昭和40年防衛庁訓令第34号。以下「訓令」という。)の制定により、現在の形式による教範が作成されてきたが、これまで海上自衛隊においては、海上自衛隊全般に係る教育訓練のよりどころとして教範のみであつたため、個々の装備品等に関する細部の事項についても、教範として作成されてきた。
このため、同じ教範であつても、その内容のレベルは、各種戦から個々の装備品等の操法等に関するものまで大きな幅が生ずるとともに、教範数の増大の原因ともなつている。また、その維持管理に過大の労力を費し、部隊の装備の近代化に対応して時宜に適した教範の作成及び改廃が必ずしも実施できているとはいい難い状況であつた。
(2) このため、このたびの一部改正により、陸上・航空自衛隊及び統合幕僚会議に合わせ、教範に準ずるものとして、従来海上自衛隊にはなかつた「訓練資料」が新たに制定された。これに伴い、教範と訓練資料とを合わせ「教範類」と呼称することとされたものである。
(3) したがつて、今後は、教育訓練のよりどころを教範と教範に準ずる訓練資料に区分し、訓練資料については、海幕長の承認を得て、作成担当者が作成等を実施できることとされた。
これは、訓練資料の時宜に適した作成、改廃及び教範数の抑制又は減少により教範の時宜に適した作成及び改廃を実施し、もつて、装備品等の適切な運用及ぴ部隊練度の向上に貢献することを期するものである。
2 教範類の性格について
(1) 教範は、訓令及び達により、部隊の指揮運用、隊員の動作等に関する教育訓練の準拠を示すものと規定されている。
このことは、教範を自衛隊の行動(以下「行動」という。)に関する令達等と区別することによつて戦術等の硬直化を避け、千変万化する行動の実相において、教範の字句の末節にとらわれてその活用を誤ることがないよう配慮されたためである。もとより、自衛隊の教育訓練は、行動時の最も困難な状況下に任務を達成できることを目標とし、また、行動は、教育訓練の効果を実際に発揮する場であつて、教育訓練の準拠が行動の準拠と表裏一体となる事実にいささかも変わりはない。しかも、教範の性格を「教育訓練の準拠」と定められたゆえんは、過去の教訓にかんがみ、新しい装備の出現や戦術の変化に即応した柔軟性ある行動を特に重視されたからである。
いいかえれば、教育訓練は、教範に準拠して実施し、みだりにこれを逸脱することは許されない反面、行動に当たつては、このようにして練成された基盤の上に、状況に応じた適時適切な教範の活用が期待されているのである。
(2) 訓令の定めるところにより、教範は作成者の区分によって、陸上自衛隊教範、海上自衛隊教範、航空自衛隊教範、統合幕僚会議教範に区分されるが、その作成は、長官の監督を受け、その内容の示すところに従い、自衛隊全般にわたって適用されるものである。
(3) 訓練資料は、達において、「教範に類するもので、教育訓練の資とするもの」と規定されており、その内容は、「教範の内容を補足するもの又は教育訓練に関し特に参考となるもの」と定められている。これは、訓練資料が、教範に類するものとして教範に準じて取扱うべきものであつて、その内容も教範に次いで教育訓練の準拠とすべきものであることを示している。
したがつて、訓練資料は、教範とともに教範類として、教育訓練の準拠を示しているものである。
3 他令達等との関係について
教範類は、教育訓練の準拠を示すものであるが教育訓練の実施に当たつて、その指針となるものは教範類だけではない。長官以下各段階の部隊又は機関の長が定めた部隊運用の規範及び行動の準拠となる令達等(年防、戦策、準則等)は、それぞれの令達等の対象となる部隊等の教育訓練を規制しているものであるが、教範類が海上自衛隊全般を対象に、教育訓練の準拠として、主として基本的及び共通的事項を定めているのに対し、令達等は、各部隊等を対象に、行動時の実際の部隊運用の計画を定めているものであり、これらは特に、上下関係はなく、並列に存在するものである。(これらの関係を図示すると、付紙第1のとおりとなる。)
また、取扱説明書は各種装備品等の能率的な使用、破損及び危害の防止並びに使用寿命の延長等を目的として、その構造、取扱い及び整備技術に関する事項を解説しているのに対し、教範類は、取扱説明書を基に、主として最適運用を目的として教育訓練するための準拠を定めており、これらは、それぞれ目的を異にして並列に存在するものである。
4 教範類の分類について
(1) 第1種教範の内容と示される「総合的な部隊の指揮運用」とは、水上艦艇、航空機、潜水艦、固定施設等を総合的に指揮運用することをいい、主として各種戦に関するものである。
(2) 第2種教範は、装備品等の複雑化、多様化より操法、取扱い及び整備の明確な区分が、必ずしも適当でなくなつたこと、及び教範の作成、使用上の便宜を考慮して、画一的な分類を避けることとされた。
なお、それぞれの内容は、標題及び整理番号によつて表示される。
(3) 操法、取扱い及び整備に関する第2種教範のうち、当該装備品等について別に「取扱説明書」のあるものは、同書と同一事項を網羅することなく、同種の装備品等に共通の操法、取扱い及び整備についての原則的事項並びに実績による教訓的事項を主として作成することとされたい。
(4) 第3種教範は、情報及び業務等第1種及び第2種教範の内容に属さない事項に関する教育訓練の準拠であつて、その都度、作成担当者が指示される。
(5) 訓練資料は、達において教範の内容を補足するもの又は教育訓練に関して特に参考となるものと定められている。
第1項で述べたとおり、従来から海上自衛隊においては教範のみを作成してきたため、現行教範は、教範とする程のものでないもの、必要以上に細部にわたる事項等を含んでいる。
今後は、全面的に現行教範の内容の見直しを実施し、市販の図書と内容がほぼ同じもの、資料が主体であるもの等、教範としてふさわしくないものは必要に応じ訓練資料に区分されるが、第2種教範については、第3号に述べたように、操法、取扱い及び整備に関するもののうち、同種の装備品等に共通のものは引き続き教範となるが、個々の装備品等についての操法、取扱い及び整備に関するものは、教範を補足するものとして訓練資料とされるものである。
現行教範について分類見直しの具体例の一部を示せば、付紙第2のとおりである。また、教育訓練に関して特に参考となるものについては、作成担当者がそれぞれの担当範囲において、教範に次ぐ教育訓練の準拠とすべきものを、訓練資料として作成できるものである。
5 原案の作成等について
(1) 作成担当者は、担当する教範類について、原案及び訓練資料を作成する責任を持つものであるが、その作成には資料の収集、問題点の検討、訓練実施者の意見聴取等、他部隊、機関の協力を必要とすることが多く、かつ、衆知を集めてよりよい教範類を作成する必要があるので、各部隊、機関は、作成担当者の要請に応じ積極的に協力するよう定められた。
(2) 訓練資料の作成に当たつては、当該内容が教範、訓練資料のいずれに属するかについて、海幕、作成担当者間で十分な検討及び調整を実施する必要がある。また、訓練資料の作成、改廃については、時期及び内容の判断は、ほとんどすべて作成担当者にゆだねられているが、これは、時宜に適した作成並びに改廃が実施できるよう配慮されたものである。